アメリカのモンティ・パイソンこと、ファイアサイン・シアター

 僕が興味を持っているアメリカのコメディ・グループに、「ファイアサイン・シアターFiresign Theatre」という人たちがいる。

彼らは、SF的なオーディオ・コメディ(耳で聞くコメディドラマ)を作ったグループで、主に、大学生やヒッピーたちに70年代に人気があった。イギリスにモンティ・パイソンと言う、シュールな芸風で全世界のコメディに影響を与え、「コメディ界のビートルズ」と呼ばれるグループがいるのだが、ファイアサイン・シアターは、モンティ・パイソンと同じく「コメディ界のビートルズ」と言われたり、「アメリカのモンティ・パイソン」と説明されたりする。

 

 ⭐「アメリカのモンティ•パイソン」「コメディ界のビートルズ」の呼称。ただ、ファイアサインズの場合、サイケ期のビートルズ的。
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ファイアサインズ(ファイアサイン・シアターの略称。FT、FSTとかも言う)のドラマは、全編英語であり、脚本集、ウィキペディアの解説、インタビュー本も英語であるため、多分僕のファイアサインに対しての考えには、誤解が多いと思う。結構、差別用語も出てくる。アジア人の蔑称の「gook」とか、ネイティヴ・アメリカンの蔑称「Indian/In-jun」とかもよく出てくる。僕が、人種差別問題やドラマ内容を、知ったかぶりで書いてるのでは?(実際、今でもドラマ内容を分かっておらず、そうなのだが…)と、ブログで取り上げるのに結構躊躇した。しかし、誤解でも何か書いておきたい気持ちになったため、ブログに取り上げることにする。

 

ファイアサイン・シアター(左から、ピーター・バーグマン、フィル・オースティン、デイヴィッド・オスマン、フィリップ・プロクター)

 

 僕が彼らに興味を持ったのは、あるサイトにあった、歴代コメディ・チーム(コメディ・グループ)のランキングで、彼らが3位になっていたことからである。ちなみに、1位はマルクス兄弟、2位はモンティ・パイソン、4位は、グーンズ、5位がグッディーズだった。グーンズを押しのけて、モンティ・パイソンの次に座している、この名前も知らないグループは一体何者なのかと興味津々になった。また、僕はシュールな芸風が好みなので、おそらくマルクス、パイソンズ、グーンズと並んでランクインしてる、このグループもシュールな芸風に違いないと推測し、興味をそそられた。

 早速検索してみると、その通りで、Wikipediaには、ジャンルがsurreal humorとあった。当時は、今よりもっと英語が読めず、google翻訳で怪しい日本語にしてウィキの記事を読んだように思う。

 検索してみたところ、日本語のサイトは2件くらいしかなくて、僕のマニア心をくすぐった。ファイアサイン・シアターのドラマを、今という時間に聴いてるのは、日本人では多分僕だけと思った。それで、大いなる勘違いなのだが、他人とは違う知識を持った、特別な人間になったような気がして嬉しかった。ほんとに勘違いだが…。
 確か給料日になってから、Amazonで、ジャケットに惹かれていたセカンドアルバムの「How can  you be in two places at once when you're not anywhere at all.(「どうすればどこにも居ない時に、二つの場所にいられるか」(禅の公案みたいなもの?ドラッグの幻覚の影響があると思う。居場所がないけど、現実と夢の中で生きてるみたいな?)アルバム別名「All hail, Marx&

Lennon」(マルクスとレノン万歳。グルーチョ・マルクスジョン・レノンで、マルクスレーニンをパロってる。初めて見たときはかっこいいと思ったが、キリル文字をアルファベット的に使ってるところ、外国映画に出てくる変な日本語を思い出させて、恥ずかしく感じだした))を注文した。

初めて買ったアルバムの表ジャケ。右は裏ジャケ。

運転中、「ハッハー!クールだぜ!」と勘違いして聴いていたが、内容はさっぱりわからなかった。ただ、セリフの音は覚えて、聞き流せるようになった。

 

当時まだ、個々のアルバムの解説のウィキ記事もなかったと思う、多分。5,6年前だが。

そこで、脚本集を買うことにした。ファイアサインのオフィシャルサイトで販売情報を知ったからだ。

ただ、オフィシャルサイトでは、カードが要るため、怖くて、それと僕はクレジットカード持ってなくて、買えなかった。

日本のAmazonでは、取扱いなしで売っておらず、紀伊国屋書店にメールしたが、めちゃくちゃ塩対応で、けんもほろろの「出来かねます。ご了承願います」ばっかで、なんだこいつらはって思った。しかし、紀伊国屋書店にメールした一時間後、日本のAmazonで懲りずに検索していると、なんとこの脚本集が200万円のワンクリック詐欺の値段で出品されていた。どっからか情報が漏れたのだろうか?紀伊国屋が、古本業者に問い合わせた時かに情報が流れたのかな?そんなことってあるのだろうか?怪しすぎる。結局Amazonと、紀伊国屋で購入することは諦めた。

 

購入代行を利用することにした。代行会社を経由して、オフィシャルサイトで購入するのだ。

1万4千円かかった。しかし、届くまでの間、めっちゃ楽しみで、生きる希望が湧いていた笑。

 

その後届いて、パラパラ読むもののサッパリわからなかった。

 

ファイアサインから少し遠のいていたある休日、偶然思い付きでちょっとWikipediaで、ファイアサインのアルバムの記事の検索をしてみた。

すると、なんとマルクス&レノン万歳の記事があるじゃないか!

その記事を辞書で調べながら、翻訳してみた。

めちゃくちゃ内容を誤解していた…。

そして、脚本集の方も、アルバムを流しつつ、辞書を調べながら、聴いてみた。

 

びっくりした…。

心の中にイメージがめっちゃ湧くからだ。車に乗ってて、看板が言葉を発しながら、過ぎ去っていくシーンや、ピラミッドが開いて吸い込まれるシーンや、リズミカルでスピーディーなミュージカルシーン(昔のディズニーアニメみたいなすばしっこい動き)などなど…。

ボブ・ディランの曲や歌詞、落語でも空想の世界に入ったことはある。しかし、ここまでイメージの喚起力の強いものなのかと思った(個人によって差はあろうが)。ドラッグ服用者がハマったわけだ。

ただ、イメージが目まぐるしく変化し、諷刺(というか、僕はまだそれがわかっておらず、キャラの口調、雰囲気)がきついことから、悪酔いした。ドラッグはやったことないが、こんな感じなんだろうと思った。

ディズニー・アニメの不思議の国のアリスとかに似てる。

ちょっと陽気な悪夢って感じだ。初めて味わうような経験だった。

それを聴いた夜、めちゃくちゃ変な夢を見た。近未来の異世界のような。頭おかしくなったと思った。

実質5時間くらいしか寝てないのに、展開がハイスピードで10時間くらい眠ったようだった。しかも明晰夢だった。すっきりしてたが、夢の内容を思い出すと気持ち悪かった。

こんな狂気のコメディからは、やっぱり少し距離を取った方が良いのかもしれないとその時は思った。

 

が、こんな体験を味わえるグループは、唯一無二で、実は現在も惹かれて聴いている。

 

そして少し前に、ファイアサインズのあるアルバムを字幕翻訳してみた。


大まかなあらすじとしては、未来博という一種のテーマパークに来た主人公クレムが、テーマパークを管理しているコンピューターにハッキングして、侵入し、コンピューターとの対決をする、というものです。

前編

youtu.be

 

後編

youtu.be

 

スティーブ・ジョブズは、ファイアサインズのファンで、Siriにこのドラマの中のセリフThis is worker speaking , Hello?と言うと、ドラマにちなんだ返事が返ってくるらしい。

 

頭のイッちゃってるコメディなので、あまりオススメは出来ませんが、空想が好きな人は良かったら、見て下さい。

 

言っとくけど、パイソンズの方が可笑しいです。

シュールの種類が違います。パイソンズはシュールな発想のナンセンスさ、馬鹿馬鹿しさで笑える感じです。ファイアサインズは、シュールな空想に驚いて、笑う感じです。言葉遊びの世界が現実になってる頭おかしい世界です。これも僕の勘違いだと思いますが。

 

英語力ないので、誤訳めちゃくちゃあると思いますが、大目に見て下さい…。